7月末、奈良フロイデ合唱団の定期演奏会の指揮者としてセンチュリーに来られたとき、
その練習二日目の開始前に時間を頂きインタビューさせていただきました。




郡山南部公民館にて 7月27日

-CONTENTS-
定期のプログラム
普段着の阪さんは?
学生時代は?
デジタルな指揮とアナログな指揮
センチュリーってどんなオケ?
演奏会の合間、オフには何を?
練習嫌い?!
ヨーロッパと日本、オーケストラ気質

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インタビュアー(以後I.):今日はよろしくお願いいたします。センチュリーには何度かオペラで来て頂いているんですけれども、今回の定期演奏会でセンチュリーと特にこういう事がしてみたい・・といったような事はありますでしょうか?
[定期のプログラム]
阪さん(B):実はまだちゃんと楽譜読めてないんですけど・・・(笑)そうやんねえ〜(京都弁が出てきました、阪さんは京都のご出身です^^)そう、プログラムの中の「セレナーデ」はなかなか演奏されない曲でヴァイオリンが無い曲なんですよね。
ヴィオラから下だけで小さな編成のオーケストラ用として書かれています。

昨日練習してても思ったんですけれどセンチュリーは基本がモーツァルトとか古典の曲にあるオーケストラだと思うんです。だから去年の「フィガロ」も凄く良かったし、例えて言うと「ヴェリズモ!!」みたいな大編成の物よりも澄んだ音色を求められる曲の方があっていると思うんですよ。

そういう訳で最初僕の方の希望としてはモーツァルト・プログラムを・・って言ってたんですけれど、それが年間を通してのプログラミングと合わなくて「例えばリヒャルト・シュトラウスとモーツァルトの組み合わせ」などどうでしょう?て言われてました。
それからもう一つの提案は「ドヴォルジャークの弦楽のためのセレナーデか管の為のセレナーデと同じくドヴォルジャークの交響曲6番」7番・8番・9番などはよく演奏してるでしょうからね。そしてもう一つの提案が今回の「メンデルスゾーン、シューマンを中心としてブラームスのセレナーデを加えたプログラム」だったんです。

ハッキリ言って僕はセンチュリーのサイズのオーケストラではこのプログラムを演奏したことがないんです。今まではいわゆる16型のオケだったので・・・・(注:16型というのはファーストヴァイオリンが16人いる編成の事、センチュリーは基本的に10型です)

センチュリーのサイズで演奏するのは難しいですけれど まず作曲家の違いをはっきり出したいですね。
二つ目に、室内楽的なアンサンブルを重視した演奏を心がけたいですね。16型のベルリンフィル的なイメージで演奏しても仕方がないですからね。
会場はシンフォニーホールでしたよね?
I:ええ シンフォニーです。
B:音響も良いですよね、ですから物量勝負で行くのではなくて隅々まで神経の行き届いた演奏をしたいですね。
I:プログラム案の「ドヴォルジャーク」ではなくて今回の「メンデルスゾーン・シューマン」を選ばれたのはどういう理由なんでしょうか?
やはりドイツに留学なさっていたからですか?
B:いやいや、僕が留学していたのはウィーンですからそうではありません。
う〜〜ん どうしてだろ? 一杯候補があったなかで残ってきたのがこれだったから・・・かな?(笑)
「ドヴォルジャークプロ」なんかすごく面白そうで僕もやってみたいですね。僕は高関さんとは面識無いんですけれど・・これって高関さんがやってみたそうなプロじゃありませんか?
・・・・・結局 たまたま こういうプログラムになった っということでしょうか。

僕は今まで普段オペラばかりやって来てたんですけれど、 最近、まず最初にベートーヴェン、そしてブラームスを演奏してきていて今年は異常にブラームスが多いんですよ。今年は3番をやった年で、去年は2番だったかな。そうして順を追って全曲やって来て今年はもう2巡目、3巡目に入ってきているんです。そうしてきて順番で言うと次はシューマンなのかな・・?

僕、日本でのデビューコンサートにシューマンの一番演奏しましたし特にシューマン好きなんですよね。
4番も大好きなんですけどここ5年くらいやってませんね。2番3番はまだやっていないんですが、自分の希望を出して許されるときには自分なりに作曲家ごとに順を追って演奏していきたいと思っています。
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[普段着の阪さんは?]
I:私の印象ですが、阪さんの練習の進め方だとかお話しの仕方がすごくスピーディだと思うのですがご自身どう思われていますか?
B:速いでしょう(笑)すみませんねえ。
I:そうすると日常の生活のペース、例えばご飯を食べる速さだとか、歩く速さだとか・・・・
B:そうそう(笑)最近ご飯を食べる速さが速くなってきたんですよ。一人で食べるとどうしても速くなりますよね。
I:仕事だから意識してテキパキとされてるとか・・・・?
B:いやいや 全然(笑)
性格がそのまま出てるんだと思ってます。僕って結構「いらち」(関西弁でせっかちのこと)なんです、
エレベーターのボタン二回押す・・・みたいな、 ね。
I:私は阪さんとのお仕事初めてなんですけれど練習の時いつも黒いポロシャツ着ておられますけど、いつもなんですか?
B:そうですね、半袖じゃないときはポロシャツではないけど もう仕事着になってますねえ。
よく聞かれるんですけど・・・
I:あっ そうなんですか?やっぱり黒っていうのが・・・
B:まずいつも同じだと何も考えなくて良いってことがありますよね。

それと学生時代僕は京都芸大までバイク乗ってたんですよ。バイクに乗るときは汚れが目立たないということもあって、いつも黒を着てましたね。下も黒ジーンズで。
そうしてズボンだけを仕事場に置いておいてはきかえてピアノなんか弾いてたんです。

それからヨーロッパのうちのオペラの劇場のスタッフというのが皆黒着ているんですよ。
指揮者も演出家も皆黒子の雰囲気でね・・。
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[学生時代は?]
I:昔なにか楽器をやっておられたんでしょうか?
B:僕はずっとピアノ弾いてました。それからちょっとだけあの上村さん(上村昇さん)にチェロならってましたね。
I:上村さんが阪さんがレッスンに来ると「また 来たのか?」って仰ってたとか聞いたことがありますが(笑)
B:そうそう「君は全然エチュード持ってこないねえ、曲ばかり」って言われてましたね。
I:京都芸大ではピアノをやっておられたんですか?
B:いえいえ 作曲です。作曲家は副科で何か楽器を弾かなければならないんですよ。3年間チェロ弾いてましたよ。
I:実技試験の時に作曲科の学生ってよく自作自演する人いますけど阪さんは?
B:そうそう副科実技試験は公開なので、自分の技術でまかなえる範囲でおかしな曲を書いて
みんなの笑いを取る人もいましたね、 僕はまじめにやってましたよ。
試験で「愛の挨拶」弾いてたときエンドピンが滑ってガクッとなって先生達の爆笑とった想い出がありますね。
I:センチュリーには京都芸大出身のプレーヤーが多いんですけれども、指揮するときやり易いとか逆にやりにくいとかってことありますか?
B:特にそういうことはないですけれど、よく知っているメンバーは多いですね。僕が大学卒業するときにできたオーケストラですから。
「今度新しいオケが出来るんでメンバー募集しているらしいよ」とか
「センチュリーっていう名前に決まったらしい、なんだかホテルみたいやね(笑)」とか
学食で話題になってましたものね。
I:えっ!名前違ってたんですか??
B:そうですよ。元々「大阪府音楽団」とか言っててそれが「大阪府管弦楽団」ってなったんでしたっけ?
それから名前を公募してセンチュリーっていう今の名前になったんですよ。
確か90年だったっけかな? 僕は90年卒業ですから。(センチュリーは1989年12月創立です:インタビュアー)
だから旧姓三原さん、椿さんだとか 尾崎未佳さんとか同じ学年です。
こういう風に先輩がいて同級生がいて後輩がいる・・っていうオーケストラ。
京響、ウィーンフィル、そしてここセンチュリーにも多いですね。
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[デジタルな指揮とアナログな指揮]
I:ところで阪さんはキャリアをまずオペラの指揮者として始められてますよね?ヨーロッパはまずビールのオペラハウスでそれからウィーンに行かれその後またドイツのオペラハウスで指揮されてますよね。
センチュリーはジャスト、オペラのボックスサイズのオーケストラですし、お付き合いも最初が神戸アーバンオペラ、その後もオペラばかりですね。あっ一回ハイドンの「天地創造」がありましたっけ。
B:そうですね、いつも歌が入ってましたね。
I:阪さんはヨーロッパのオペラ専門のオーケストラをずっと指揮されて来たわけですけれど
そういうキャリアをお持ちの阪さんから見てオペラを演奏するときのセンチュリーって例えば機能的な面から見てどういう感想をお持ちでしょうか?
センチュリーもここ数年オペラやガラコンサートを演奏する機会が凄く多くていわゆる「歌伴」の経験を急激に積んできていると思うんです。阪さんが初めて来られてからでもどんどんキャリアを積んで来ていると思うんですけれど。

こんな聞き方していいのかどうかわかりませんけれども、初めての時と較べて印象は変わってるでしょうか?それとも変わらないでしょうか?
B:あのね。以前は日本へ来ると指揮の振り方をがらっと変えなきゃならなくて、普段使ってない筋肉とかを使って指揮しなきゃならないんですよ。そう「日本用筋肉」みたいなところを使ってね(笑)
斉藤メソードに近くしないといけないみたいなね・・・。変なところが凝るんです(笑)
I:日本では「その振り方だとわからない・・」とかって言われるんですか?
B:でもね、最近その差が段々無くなってきていますね。まだ完璧に同じかどうかはわかりませんが。
もちろん日本だからと言っても色々な個性のオケがあるわけですし、練習できる回数だとか、お互いの理解度によっても変わってきますよね。練習3日間とれて最終的にはお互いオートマティックに演奏できるものでも、練習が一日しか取れなかったらちゃんと細かいところまで振らなきゃいけないとかね・・・。
これは自分の問題かも知れないけれど最近その差はなくなってきていますね。昨日なんかも全然、筋肉痛なんか出ませんでしたよ。

最初にセンチュリーとお会いしたときは確か「ボエーム」でしたよね。そう、あの時は結構大変でしたね。「それじゃわからない!」みたいにガーンとぶつかったこともありましたしね(笑)
でもそれから何回かお付き合いするうちに「ああ、こいつの時はアナログ的にアバウトに棒を見れば良いんだ。」って判ってきてもらえてきたと思います。昨日もいわゆるデジタルな感覚でではなくてアナログで見てくださっていて、僕はそれがすごく嬉しかったですね。

僕はなんて言うんですか、凄く正確な5ミリ単位の棒なんか振ってませんし、また振れませんから。
今回も(7月の奈良フロイデ合唱団の定期演奏会)全体の雰囲気を掴まれたら後は自分たちの音楽を皆さん自身でやって下さって、僕は合唱を振っていれば良いっていう状態まで持っていけたらと思っています。

「ボエーム」の時はお互い初めてだったし、テンポは頻繁に変わるし、曲は難しいし・・・みたいな感じでお互いが過剰反応を起こしていた面ってありましたよね。また僕のテンポ速かったですもんね(笑)
I:そうでしたね。あまりに速くて皆あたふたしてしまったところもありましたものね。阪さん、速いテンポがお好きなのかなって思いました。
B:どうでしょうね?ちんたらしてるの嫌いですけど・・・僕ねピアノを弾いても多分速いと思いますよ。
I:(笑)ああっ そうなんでしょうね?・・・・・そう!絶対そうですね!
B:ええ、しゃべりが速いってことはね。
僕、足も速いですし、投げる球も速いですしね(笑) もう誰にも負けません(笑)
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[センチュリーってどんなオケ?]
I:なんだかちょっと話題がそれてきたようなので戻したいと思いますが・・・・(笑)。
先程のお話しの中の「自分たちの音楽を皆さん自身でやって下さって・・・・云々」の事ですが、
次回の定期演奏会でも私たちが自発性を持って音楽を演奏していく・・・ていうのが一番大事なこと?、
これはある意味あたりまえのことなんでしょうけどね。
B:そう言う風にして下さるのがもう最高にうれしいですよね。
以前僕の中のセンチュリーの印象って「白いキャンバス」っていうイメージだったんです。どうにでもなれるっていうか・・・非常にフレキシブルに柔軟に対応できる、変な癖のないオーケストラ・・?
I:その印象は以前と比べてみて今でもそうでしょうか?変わっていません?
B:そう、基本的にはね。凄く透明感のある音の綺麗なオーケストラでしょ?
昨日合唱団の人から聞いたんですけれど、今回の仕事って(7月の奈良フロイデ合唱団の定期演奏会)指揮者の僕も含めてオーケストラも合唱団に雇われているわけですよ。
合唱団でさあ何処のオーケストラに依頼しようかって話になったときに、僕の同級生が奈良フロイデの合唱指揮をしているんですけど、その人が絶対センチュリーでっていう事で強く希望されたんですって。その「凄く透明感のある音の綺麗な・・」っていうキャラクターが合っているという理由でね。
I:以前阪さんとご一緒したハイドン「天地創造」は何処の合唱団でしたっけ?
B:あれは第一合唱団です。来年も演奏会するんですけれど残念ながらセンチュリーの定期演奏会の翌日で練習スケジュールが調整付かなくてその仕事は他のオーケストラ行ってしまいましたが。あの時もセンチュリーのキャラクターにハイドンの曲が凄くあっていたと思うんですよね。
去年の「フィガロの結婚」の時もそれ思いましたし、「ドン・ジョヴァンニ」というよりはやっぱり「フィガロ」なんですよね。
I:それって翳りがなくって陰影に乏しいっていうことですか?
B:変な癖がない・・。
I:苦労した跡がない・・?
(「それって自分一人そう思ってるだけじゃないですか?」っと他のインタビュアーからツッコミが入りました)
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[演奏会の合間、オフには何を?]
I: ところで仕事がオフの時ってなにされてるんですか?
B:う〜〜ん 何してるんでしょうね?移動していることが多いかな。
I:次の演奏会の準備をされてるとか??
B:いえいえ ギリギリまで準備しませんね。
I:わりと自分を追い込んで最後にダッシュするタイプなんですね?
B:そう 僕の場合一年前からとか半年前からとかいう計算は成り立たないですね。
この4月の終わりから3日練習して演奏会本番1回か2回 っていうペースの仕事を5週間続けましてね
なんだか気が狂いそうになりました。
それも場所が、まずイタリアで始まって名古屋・大阪・スイスそして京都。ほんと死にそうでした。
I:それじゃあ追い込まれるまで置いておいて最後にガーッとダッシュしたんですか?
B:うん、その上、一週間ずつ全部予定が狂ったんですよ。
なぜかというと 最初のイタリアの仕事はピンチヒッターとして2・3日前に突然来たもので、その後滞在先で次の仕事の勉強するはずだったのに予定が全部ずれてしまって(笑)
最初のイタリアで勉強するつもりだったんですけれどところが・・・朝の10時からの練習行くとですねえ「今日のお昼は何食べますか?」「今晩は何を食べに行きますか?」ってオーケストラの事務局の人が全部招待してくれたのは良いんですけど、食事に凄く時間かけるんですよね。また時間かけるからたくさん食べるんですよ。前菜から入れて3皿位へっちゃらですからね。
I:そうそうラテン系の人達ってそんな感じですよね。(スペインに留学していたインタビュアーから)
経験有りますけれどあちらの人って夕方の4時近くまでゆっくり昼ご飯食べて そんな時間になってから「今日の午後は何しますか?」なんて聞いてきたりするんですよね。
それからもう一日があらたに始まるみたいなペースの生活なんですよね。
B:そうそう それで食べ過ぎて眠いからお昼寝するんですよ。
I:そう言うわけでイタリアでは準備勉強が出来なかったわけですか?
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[練習嫌い?!]
B:そうです。だって週の内5日間仕事してるわけでしょ。そうして残りの二日間で移動、イタリアから日本、日本からスイス、また日本ってね。
だから佐渡さんなんて偉いなあって思いました。ず〜っとそういったペースで仕事続けておられるわけでしょ。
僕の場合今までは練習しなくても演奏会だけ振るだけで良い っていう本拠地があったから楽だったんですよ。  誰も信用してくれないけど僕って実は「練習」嫌いなんですよ。
I:でも割と時間いっぱいまで使って練習するイメージがあったので練習するの好きなのかなあって思ってました。
(他のインタビュアーからも「そうそう!」と賛同の声が)
 誤解していましたねえ(笑)
B:ほら例えば最初に一回練習するとするでしょ。その時に「あっちにも一つ。こっちにも別の引き出しが一つ」っていうふうにいくつものいろんな演奏を自発的にしてもらって僕は「あっ これも良い。いや あっちの方が良かった」って言うような練習が好きなんです。
設計図通りなんだけど自発的な肉付けの何もないものより 最初から色々付いているのを削っていく・・・? 何もないところから作るより有るものを削っていく方が絶対楽ですよね。ボリュームにしてもそう。強すぎるものを押さえたりするのは楽なんだけど逆にボリューム無いものをもっと出させるっていうのは大変なんですよ。
だからそういう自発性がないとどうしても最初に色々言わないといけないことになってくるんですよ。
I:つまり練習が長くかかるときは私たちに自主性が無いから って考えても良いわけですか・・・・・
B:う〜〜〜ん。 
僕ね、どうして指揮やっているのかなって考えるんですけれど、言葉無しで音楽を通じて意志疎通できるってことだと思うんです。

ブルガリアに行ったときなんてあちらの言葉はまるで解らないんですけどちゃんと練習できるんです。
だから一緒に演奏していて一番困るな・淋しいなって思うのは眼が合わないこと。
次に大事なソロが来るときにずっと楽譜見たままで吹いている方だとか、弦の方でも楽譜見たままだとか。 

逆にそういうコンタクトが取れていると眼の動きだけで「さっきのと今のとは何がどう違う」だとか、「あなたはそう言うけれどこんなのはどう?」とかいう顔をしてくれるとこっちも「あっ それそれ!」だとか「う〜〜ん それはちょっと」だとか やりとりができるんですよ。
そういうような「これで どうなの?」みたいな問いかけが楽団の方からあるとすごく嬉しいですよね。
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[ヨーロッパと日本、オーケストラ気質]
I:ヨーロッパのオーケストラの人達ってそういうやりとりよくするのでしょうか?
B:っていうか、向こうの人は「俺はこうしたい」っていうものをはっきり持っているんです。
例えばクラリネットはこっち向いててオーボエがあっち向いてるみたいな・・・。
もの凄く自己主張がはっきりしているし、また譲らないんですよね。
I:向こうの人の自己主張パワーって強力ですものね(笑)
B:知っている曲であればあるほどそうですね、有名な曲、ベートーヴェンの5番とかね。
バラバラな向きの時には指揮者が「こっち〜〜〜!」っていう感じで持っていかないとね。
彼らの場合指揮者がエンジンかけて飛ばすようなコトしなくてももうバリバリ飛んでるんですよ。
そういう意味で棒の見方もかなりアバウトですね。

例えて言うと「雨の日の運転」みたいなものです。
ブレーキかけるときもちょっと前にかけないと止まらないとか・・・・
棒の見方にも含みがあるというか・・・アナログ的というか・・・彼らが考えていることが一杯あるんですね。
B:テンポを煽っていきたい時には相当大袈裟に煽って、思っているようなテンポに初めてなるとか、
逆に彼らが乗っているときにそう言う風に大袈裟に煽るととんでもないことになるからやり過ぎないようにちょっとだけにしておくとかね。

なんて言ったら良いのかな・・・・向こうのオケを振るっていうのは何か意志のあるもの、例えば馬に乗るような感じ?
もしくは雨の日の車に乗るようなデジタルには伝わらない、20パーセントの含みを持って運転しなきゃならない操縦方法でないと上手くいかないわけです。

それに比べて日本のオケっていうのはデジタルチックに反応が凄く良いから、向こうで指揮するのと同じ感覚で振ると
「あっ しまったやり過ぎた」って事になることありますね。
I:センチュリーはそれを売りにしているところってありますね。ほら人数が少ないでしょ。
大編成のオケでは小回り利かないけど ウチは軽快なフットワークを誇れますから。
右向け右! っでパッと方向転換できるような感じのね
B:そうですね、それに皆さん指揮者の僕の言うことを良く聞いて下さってますしね。
でも 「ここだけは絶対こうしたいんだけどな!!」っていうようなこだわりがもっと前面に出てくるとより面白くなるでしょうね。
もちろんセカンドとファースト(ヴァイオリン)がバラバラあちこち向いていたんでは困るんですけど(笑)
管楽器のソロみたいな独自性を出しやすいパートについてはそうして欲しいですね。
I:そう言う時って管楽器の人って指揮者にらんで「俺はこうなんだ!」みたいな感じで演奏してるんでしょうね?
B:いやいや そういう威圧的な感じじゃなくて、「ほら ほら 聞いてよ! これはどう?」みたいな
聞いているみんなもグルにして巻き込んで 周りのメンバーも「それ 良いよ!」てな感じで応援するような雰囲気でしょうかね?

そうなったら指揮者も悪いとは言いにくいですよね(^^;)
I:そんな時って指揮者は第3者的なポジションにいるわけですか?
B:うん 調整役って感じでしょうか?
まあ指揮者のタイプにもよるでしょうね、絶対全部俺の言うとおりにやれ! みたいな人もいるだろうし。
僕は少なくともそうではありませんけど・・・・。

例えばクラリネットが何か思いっ切りやったとしたらその前後のフルートやオーボエも同じようにやらないと辻褄合わなくなりますからね。

良い音楽家っておしゃべりしませんよね。口開かないで演奏して見せて「これで何か文句ある???」って感じにね。
I:それが最初おっしゃってた「あちこちのたくさんの引き出しから色々出てくる演奏」っていうことなんでしょうか。

今日はそろそろ練習時間も迫ってきましたのでこの辺りで切り上げたいと思います。
練習前の気ぜわしいときにお時間頂き、非常に興味深いお話しを色々とお聞かせ下さり有り難うございました。9月の定期演奏会楽しみにしておりますのでよろしくお願いします。
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interviewer:chika,yoko&kaz.