金聖響ウィーン幻想派シリーズの「マーラー交響曲4番」の練習3日目、
10月16日の練習終了後に

センチュリーオーケストラハウスでインタビューさせていただきました。








-CONTENTS-
いつも死ぬ役ばかり
練習は大好き、いつもフルボイスで歌います
歌手もオケの楽器の一つ
音楽って恋愛と同じ?
テニスで関東ベスト8に!?
第九を聞いて声楽家に・・
声の色を変える
四番交響曲へ込められたマーラーの思い
恩師東敦子さんの想い出

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[いつも死ぬ役ばかり]
I(インタビュアー):今までに日本でインタビューをお受けになる機会とかはありましたか?
O( 大岩):そうですね、私は自分のことを話すのがあまり得意ではなかったのですよ。でも最近レパートリーを広げていくようになって、こういうことをやっていきたいんですという事をお話したいなぁと思っていまして、このインタビューはタイミングいいですね。
このマーラーの4番も本当にタイミンングの良い時期にお声をかけていただいて、2つ返事でお引き受けしました。実はこの演奏会のマーラーの4番が本格的なドイツもののシンフォニーのデビューなんです!!
海外でドイツものののオペラは魔笛の”夜の女王”などを歌ったことはあるんですけれどもね・・。
I:詩自体が凄く意味をもって、それがシンフォニーに組み込まれているから、超大作ですよね。
O:そう、だからオペラを歌っている歌手としては、すごくいい感じにシンフォニーに導いてくれるような作品ですよね。マーラーの作品は特にリートっぽくホントに歌詞と音楽がくっついているから・・。
I:そうですね。
O:マーラーの4番の詩を読んでいると絵が浮かんでくるの。綺麗な色もあるけれども、結構毒々しい色もあって、それが見事に音楽とピッタリときていて、「あっ、大人の為の絵本、童話集」の様な気がするんですよ。結構スペクタクルでね。
I: マーラーの作品の中では、一番地味な感じなんですか?
O:そうですね、構成がシンプルだと思います。もっともっと複雑怪奇で誇張された曲も他にありますけれども。

そのシンプルな4番ですけれども、歌っている本人はかなりエキサイティングするんですよ。エキサイティングしながら、最後に解決する部分があるでしょ。そこでかなり高度なものが要求されているんだろうなという事を感じますね。それがうまく出来るか出来ないかは私は今は何とも言えないのですけれども、デビューですから、でも課題をもらったような感じがしますね、今回。

私が今頂いているオペラの役柄は、殆ど自殺とか病死の役ばかりなんですよ。(笑)
I:ちなみにどんな役ですか?
O:ボエームのミミは病死、椿姫のヴィオレッタは結核で死んで、蝶々さんは自殺、トスカはスカルピアを殺した後に飛び降り自殺でしよ。マノンレスコーでは駆け落ちして、砂漠の中で恋人を残して死んでいくでしょ。(笑)
お願いだから、死ぬ役は勘弁して!と思っていたら、マーラーのこのシンフォニーを頂いて、いきなり天国が舞台になってしまったんですよね。(大爆笑!!)
I:それもすごくタイムリーですね。
O:いきなりすごい超越した世界に導かれて、それも天使の役で。
I:はじめに金さんがソリストはオーケストラの後ろの一段高い所に立って、スポットを当てたらどうかなんて言ってましたよね。(笑)まさしく神の声だから。
O:ホントはブランコに乗って登場しようか・・。なんてふざけてたりで。
I:えっ、それじゃあ結婚式場でしょう。(笑)
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O:オペラの限界って言うものもあるんですよ。なぜなら2時間なら2時間という限られた時間にたくさんの詩や物語を凝縮していかなければならないので。
でもこのマーラーって贅沢だなぁ!逆じゃないですか。短い詩の為に、1楽章、2楽章、3楽章があってそれが4楽章へのプロローグ。なんて贅沢なんだろうと思います。

オケにとってはどうなんですか?歌に最後おいしいとこ持っていかれるなんて感じじゃないですか?
I:いえいえ、全然そんなことないですよ。
でも残念ながら勉強不足で、私は歌詞の意味を完全に理解している訳ではないので、もっと歌詞の内容と音楽とがホントにくっついているところが理解できたらもっともっといろいろ感じれるのに・・。
O:私思ったんです。時間がとれてもっと一緒にリハーサルが出来たら、皆さんに語りたかったんです。
私の歌っているこの歌詞の部分は、こうなんですよ、そうするとここにこの楽器が絡んできてねっていう風に。それをやりたかったんです。
そうすると楽しいでしょ。
I:やっぱり大事なのは色とか雰囲気、空気ですよね。それが変わるところでオーケストラもそういう雰囲気に変わって欲しいでしょうね。僕達はどうしても楽譜だけを追って、fとかpとかばかりを見がちになってしまいますね。
O:4楽章のほんとの最後の最後に、”Sanct Ur sula selbst dazu〜〜〜lacht!” ってところが微笑むところで、コンマスが同じ様に〜〜〜〜ってlachen(微笑む)しているように弾いてますよね。そういうところがこの曲の中にはいっぱいあるでしょう。
I:コントラバスなんかには、羊の鳴き声の物まねがあったりで・・。
時間があれば、もっともっといろいろ深く理解出来てたのしいのですが・・。
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[練習は大好き、いつもフルボイスで歌います]
O:本当は、私は1日だけリハーサルに来る予定だったのですけれども、お願いして1日増やしてもらったんです。実は私はオペラでも何でも、一緒に稽古するのが好きなんです。
I:歌の方は、声を消耗させないようにオーケストラと一緒に歌う時間を最小限にしておきたいと思われる方結構いらっしゃいますよね。本番でしかフルボイスで歌わない方もいらっしゃるし。
今回、2日間も何度も返すリハーサルをフルボイスで歌われることに、すごく驚いていたんですけれども・・。
O:私の場合は、フルボイスで歌っている時と節約して歌っている時では、節約してる時の方が疲れるんですよ。
I:かえって支えなくてはいけないからですか?
O:そうですね、例えで言ったら野球やテニスの選手がフォームをスローモーションでやって下さいっていわれたら、すごい疲れるでしょう。
それを稽古の間延々ずっとするっていうことは、変なところに力が入ってしまうし、ジャストミートした時の爽快な感覚がないまま終わっちゃうわけですよ。
いかに爽快な打点を自分の中に掴んでインプットしておくことが大事だから、常に本番さながらにやらないと出来ないんです。
I:オーケストラの中でバランスもつかんでいるのですね。
O:オーケストラの方達も、この歌手これは抜いているのか、それとも本番で豹変するのかって考えながら弾くのも、たいへんですよね。
I:僕達も実際歌とのバランスを常にとらなくてはいけないので・・。本番まで判らないというのは一番辛いですね。
O:そうですよね、辛いですよね。探り合って男女の仲みたいに、相手がホントは何を考えているのか判らないまま結婚しちゃう、結婚式みたいな・・。
本性わかんないまま結婚して開けてみたらビックリ!騙された!みたいなの、そんなのイヤじゃないですか。
I:ハハハッ・・・でもそのスリルを楽しんでいる人もいますけれど。
O:そうそうそう、あと逆に緊張感を与えて、”ちゃんと私を聞いてね”ってそういう人もいますね。
[歌手もオケの楽器の一つ]
I:個人的にお話をお伺いしているときに、自分はオーケストラの楽器の1つだと思っているとおっしゃっていたのですけれども。
O:そうですね。そうなりたいですね。なかなかそこまで行くのにとてもたいへんですけれども。
楽器の人もそうでょうけれども、歌は生楽器じゃないですか。
I:??? よくわかりませんが・・・
O:体が楽器じゃないですか。なんて言うか、音を作る作業がとてつもなく長いんですよ。例えば、10年とか。
バイオリンでいうと木を削ってという作業から始まるんですよ、私達は。
I:そういう感覚で体を使うっていうことですか?
O:そうそう、だから関節のネジかちょっと緩んでいるっていうのでもダメなんですよ。
例えで言えば。要するに体が硬かったり凝ってたりとか、腹筋背筋のバランスが悪かったり、横隔膜がきちんと使えなかったり、息が深く入らなかったり、頬のあたりのフォームがあまかったりとか、音を見る感覚が鈍っていたり、そういう全ての部品を毎日創り治しているんですよ。


毎日朝起きたら、木を削るところから始めているみたいに。
その作業があるもんですから、なかなか自分がオーケストラの一員になるにはかなりの時間がかかると思いますよ。
I:なんだか歌の人からそういう話を聞くのは僕は初めてですね。
私もびっくりしたんですけれども、普通はソリストだからオケはそれにつけるべきという感覚ですよね。それが楽器のひとつという考えはすごく新鮮でびっくりしました。
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大岩さんのお話はまだまだ続きました。

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interviewer:aki&kaz.
2004.12.22作成